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○ 税務調査 ボーダーを狙い撃ちに

小田川豊作税理士

 税務調査の動向をお話しして参考にしていただきたいと思います。今、一般の税務調査で何が行なわれているかというと、ボーダーライン狙いです。これは消費税の課税事業者は売り上げが1000万円以下の場合は免税事業者になりますから、要するに売り上げをあえて1000万円以下で申告をして、それで免税事業者になっているんじゃないか、恐らくこれはきっと1000万円を超しているんじゃないかということで、売り上げを1000万円以下で、900万円だとか800万円、700万円ぐらいで確定申告している人、法人の申告をしている人、そういうところを狙い撃ちしています。私の事務所にも、それでやられて、調査を受けてから飛び込んで立ち会いを依頼される件数が何件もあります。
 これで税務署に入られて、ふだん、全部、元請からの入金は振り込みですから、銀行調査をしたり、その元請の反面やられると、もうほぼ収入はつかまれます。そうすると、「もう7年前から1000万円超えているじゃないか」と、「7年前から課税事業者じゃないか」と、「これは売り上げを除外したから、偽り、不正、隠ぺい、仮装だ」というわけで、7年遡及(そきゅう)、重加算税でやられます。所得税、法人税もそうですし、何といっても消費税が丸々、しかも簡易課税の選択をしていませんから、原則課税でやられる。そうすると、帳簿だとか請求書類の保存もないということで、消費税をその売り上げに丸々5%、8%が掛けられて消費税追徴になるというような事態になって、私の事務所に来た方も、追徴税額、加算税入れて2000万円ぐらいの修正を迫られて来ています。今どき2000万円の追徴なんて受けても、とても払える状況ではありません。それで何とか、あれこれ押し返すわけですけれども、そういう調査が頻繁に行なわれているということです。

従業員なのに「一人親方」で

 これは一人親方あたりも狙い撃ちされています。国税庁が毎年、事務年報というのを出しています。平成24事務年度の事務年報の査察のところで、「5・脱税の手段・方法等」とあり、「(1)脱税の手段・方法として、売り上げ除外や架空の原価・経費の計上のほか、消費税事案では、課税仕入れに該当しない人件費を課税仕入れとなる外注費に科目仮装していたもの」と記されています。建設業界では、軒並みこれがやられているわけです。
 要するに、本来、会社の従業員だった人を従業員の給与だと課税仕入できないから、「ちょっと独り立ちしてくれ」と、「一人親方になってくれ」ということで、一人親方になってもらって、課税仕入れにするわけです。そういうことをやって、それで消費税の税額を過少にすると、こういう手段が多々あるということでこれについても税務署は狙っているわけです。査察自体を狙っていたわけです。当然、税務署も狙っています。

質問応答記録書は断れる

 税務署の場合、要するに雇用なのか一人親方の請負なのか、これの判定でものすごい消費税の課税かどうかというのは変わってくるわけです。ここが非常にもめるところになってくるわけです。そういう調査が今、行なわれているということを、一つ警戒していただければということでお話ししました。
 この場合、7年遡及、重加ですから、これをやるために税務調査では質問応答記録書というのを取ります。査察では供述録取書を取ると言いましたけれども、税務署でもそれと同じようなもので質問応答記録書というのを取っています。ただしこれも任意調査ですから、査察の場合だって拒否できるんです。ましてや一般の税務調査、これは当たり前に拒否できます。これもよく覚えておいてください。もし仮に普通の税務調査でも、「質問応答記録書を作ります」などといったときには、「お断りします」で、それで終わりですから。そういうように覚えておいていただければと思います。
 最近の税務調査の動向でそういう傾向が非常に強いですので、注意していただければと思います。

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