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○ 住まい作り原点は家族 公開講座で山本さんが講演

 【建築カレッジ・吉川新吾記】第18回カレッジ公開講座を11月8日、けんせつプラザ東京で開きました。今回の講師は、カレッジで「住宅計画演習」などを担当する山本厚生さん(1級建築士)。「家族をひらく住まいづくり・自分らしく生きる」と題して講演しました。山本さんのお話を紹介します。

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「共同の力で町場の未来を切り開こう」
などと講演した山本さん

 私が住宅設計をする際に大切にしてきたのは、住む人のくらしが住む人の望むような形になること。これを超える目標・目的はありません。専門家は「こういうくらしがいい」と自分の考えを押しつけるのではなく、施主と一緒に考える姿勢でなければなりません。
 そのためには、住む人の本音を引き出し、くらしぶりをよくつかむことが必要です。ですから、私は施主さんの都合に合わせて何回も足を運ぶようにしています。こうして作り上げた新しい住まいでのくらしが始まり、ある日の家族の会話で、「わが家が一番いいね」という声が出たとき、「やってよかった!」と思います。
 しかし、住まい作りの原点である家族は今、さまざまな悩みを抱えています。社会のゆがみが浸透しているのです。望ましい家族のあり方とは、(1)個人が尊重されること、(2)経験の共有・共感、(3)自然を身近に感じるくらし。追い立てられるくらしではなく、ゆっくり、ゆったりと、(4)隣近所と仲よく、素敵なコミュニティーを形成できていることでしょう。まちづくりとも関係があります。私の地元では、街にみんなのイスを置こうじゃないか、という運動が始まりました。

担い手は町場の職人 健康・安全要望高める施主

 ところで、日本は再び戦争ができる国づくりが進み、武器輸出が可能な国になってしまいました。まさに歴史の岐路です。しかし、戦争法案反対で集まった国会前の人びとを見ていると、世の中をよりよい方向に動かす力も強くなっていると感じます。殺したくない、殺されたくないから国会へ、と自発的意思で集まる行為は、国の進路は国民が決めるんだという決意(日本国憲法の前文)を示し、「このままではイヤ」と各個人が声を上げ行動し始めました(同第13条)。一時的な現象ではないと思います。
 生活のあり方も、規格化・量産化による「利益最優先」の権威を見抜く人びとがふえ、住宅建築では「高気密・高断熱一辺倒でいいのか」「金物でガチガチに固めた木の家はおかしいのではないか」という考え方が広がってきました。こうした中、日本の風土に根ざした健康な木の家づくりの技法を学び、その進化・発展に取り組むカレッジの存在意義が高まっています。その普及のにない手は、住まいづくり・まちづくりを共同で進める「町場」です。
 小まめに親密に、仲間と一緒に、さまざまな要望に応えていきましょう。これは住む人と同じ町にくらす町場の建設業の皆さんの得意技ではないでしょうか。そして、町場のこれからを支える人を育てるのがカレッジです。カレッジで学んだことを生かせる仕事がないという事態にしないように、ご一緒にがんばりましょう。

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ひと裁ち折り 受講者に披露


 公開講座では、山本厚生さん創案の「ひと裁(た)ち折り」の実演も行なわれました。「直線で作られた多角形は、折りたたむことによって、その多角形を構成する辺をすべて重ね合わせることができる」という図学の法則を利用した紙遊びで、解説本が何冊も発行されています。

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